健診で異常を指摘された方

検診結果に要治療と書かれていると、気分は重くなりがちで、嫌な気持ちで医院に向かうことになるかもしれません。しかし、医院に行くことで、自分の身体が今までよりもきっと良い方向に向かうと、そう信じて前向きにいきたいものです。

(ご来院される際は、健診の結果をご持参のうえお越しください。)


血圧が高い 血糖値が高い コレステロール・
中性脂肪が高い
メタボリックシンドローム 尿酸値が高い 貧血
心雑音 心電図の異常 レントゲンの異常
肝機能の異常    

血圧が高い

血圧は上の血圧が140または下の血圧が90以上で高血圧とされます。
 しかし、検診でそれを指摘されたとき、それは本当に高血圧なのでしょうか?
 病院だけでなく、健康診断や人間ドックでの血圧測定では、どうしても緊張という要素が入り、血圧が高くなりがちです。実際普段は高血圧ではない人が、検診などの時だけ高いために高血圧と診断されてしまうことがあります。そういう場合を白衣高血圧と言います。

 白衣高血圧の場合、まだ慌てて内服治療を受ける必要はないと言えます。(治療をしなくてもいいというわけではありません、本物の高血圧ではないと言っても、将来的には高血圧や糖尿病になる可能性も指摘されているため、引き続き慎重な経過観察と、生活習慣の改善は必要であると考えられます。)
 まずは白衣高血圧を見分けるためにも家庭血圧測定をすることをお勧めします。
血圧計がない方は、この際購入するのはいかがでしょうか。3000円ぐらいから良いものが家電量販店などで売っています。 家族皆で使えますし、今は正常な方でも、年齢とともに血圧は上がる可能性がありますから、今後の健康管理にも良いと思います。

血圧の測り方は、朝起きてから一時間以内、排尿後に、朝食を取る前に1~2分間座って落ち着いてから測定する事が勧められています。
 家庭血圧では上の血圧が135または下の血圧が85以上で高血圧とされますから、頻回に上記数値が見られるならば、本気で治療を考えた方がよいと言えます。

その様な方は一度血圧の記録を持参のうえご来院ください。

 

血糖値が高い

空腹での血糖値が126㎎/dl以上もしくはHbA1cが6.5(NGSP値)以上の方は糖尿病型と診断されます。また空腹での血糖が110~126㎎/dl未満の方は境界型、110㎎/dl未満の方は正常型と診断されます。

糖尿病型の方は再検査を行い、糖尿病であるかどうか診断する必要があります。

糖尿病はその診断に至っても、初期には自覚症状がほとんどないため、あまり深刻に考えられないかもしれません。しかし、糖尿病の本当の怖さは長年の経過による合併症にあります。頻度の高い網膜症・腎症・神経障害の3つは特に三大合併症と呼ばれますが、重度になると生命を脅かす非常に怖いものとなります。
 網膜症は眼底出血や網膜剥離などを引き起こし失明につながります。腎症は尿を作る腎臓の機能が低下し進行すると人工透析が必要になります。神経障害は手足のしびれや痛みで患者さんを悩ますほか、感染などにより下肢切断に至ります。
 少しでもその発症をさせないためにも血糖コントロールを行うのが糖尿病の治療という事になります。

糖尿病型と正常型の間にある境界型と診断された方は、この段階では三大合併症は生じにくいと言われています。そのため直ちに糖尿病として扱われることはありません。しかし、境界型の人は、数年以内に糖尿病を発病する確率が高いことから、結局この段階から糖尿病と同じ様に食事運動療法を行う必要がありますし、また定期的に血糖測定を行い悪化が無いかどうかも見ていく必要があります。

 

コレステロール・中性脂肪が高い

LDLコレステロールは俗に言う悪玉コレステロールのことで、その名の通りこの数値が高いと動脈硬化が進行し、これに基づく様々な合併症を引き起こしやすくなります。LDLコレステロール140以上で高コレステロールとなります。

 

中性脂肪(TG:トリグリセライド)は150以上で高トリグリセライド血症となります。しかし、中性脂肪の値は食事の影響をかなり受けやすいので、検診で異常を指摘された方は、もう一度きちんとしたコンディションで再測定することをお勧めします。
 まず、中性脂肪値は食後30分ぐらいから上昇し始め、4~6時間後に最も高くなります。またアルコールを飲んだ場合は12時間後に中性脂肪合成のピークを迎えます。従って、正確な中性脂肪の測定には、検査前日は焼肉などの高脂肪食は慎み、禁酒し、12時間以上絶食した上で採血をする必要があります。

 

HDLコレステロールは俗に言う善玉コレステロールのことで、その名の通り、この数値は高いほうが良いとされます。HDLは動脈の壁などの末梢組織から余分なコレステロールを引き抜いて肝臓へ転送することで、動脈硬化を予防してくれる働きがあります。なので、逆にこの数値が低いと動脈硬化を起こしやすくなります。HDLコレステロール40未満で低HDLコレステロール血症となります。

 

 

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームの診断には、内臓脂肪の蓄積(ウェストサイズ高値)が必須条件で、それに加えて、血清脂質・血圧・血糖のうち2つ以上が基準値を超えていることが条件となっています。

必須項目 ウエストサイズ 男性85cm以上
女性90cm以上
  1 中性脂肪
  HDLコレステロール

150mg/dl以上
40mg/dl未満
(いずれか一つ以上)
3項目のうち
2項目
2 収縮期血圧
  拡張期血圧

130mmHg以上
85mmHg以上
(いずれか一つ以上)
  3 空腹時血糖 110mg/dl以上

 

メタボリックシンドロームになるとどうしていけないの?

腹部の内臓の周りに脂肪がたくさんついているという事です。この内臓周りの脂肪からたくさんの悪い物質が出て、急激に血管の動脈硬化を進行させ、血管をボロボロにします。やがて血管が詰まったり、破れたりして病気として発症します。

 

動脈硬化が進むとどんな病気になるの?

・心臓の血管で起こると、狭心症や心筋梗塞 → 突然死や心不全
 ・脳の血管で起こると、 脳梗塞      → 半身まひや寝たきり
 ・腎臓の血管で起こると、腎不全      → 人工透析
 ・体幹の血管で起こると、大動脈瘤、大動脈解離 → 突然死
 ・足の血管で起こると、 閉塞性動脈硬化症 → 足の切断
  などに至ります

 

病気の発症確率は?

肥満、高中性脂肪、高血圧、高血糖のうち3~4つが該当すると、どれも該当しない場合に比べて心筋梗塞・狭心症などの発症率が36倍ととんでもなく高くなります。メタボリックシンドロームと診断がついた時点ですでに危険因子が最低3つはあるわけですから、かなり心筋梗塞・脳梗塞を起こしやすい状態にあると言えます。一つでも危険因子を減らして、心筋梗塞・脳梗塞のリスクを回避したいものです。




尿酸値が高い

尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」という診断になります。

尿酸は血液中に溶けている物質ですが、尿酸がどんどん増加してある一定量を超えると、血液中では「もうこれ以上、溶けきれない」状態となり、溶けきれなかった尿酸は結晶となってあふれ出します。
 この結晶が足の関節などに沈着して関節炎を起こすと赤く腫れあがって「風が吹いても痛い」と言うぐらいの激痛を生じます。これが痛風発作と呼ばれるものです。
 また、結晶は関節以外にも沈着し、腎臓に沈着すると腎臓の機能を低下させ腎不全に至ります。腎不全が高度になると腎機能は廃絶し最悪人工透析を受けなければならない状態になることもあります。

 

尿酸値がいくつになったら薬を飲むべきか?
 尿酸値が7mg/dlを超えたら尿酸結晶が出来てくるリスクがあるので7mg/dlを超えたら要注意です。まずは生活習慣を改善させる必要があります。
 1~2か月生活習慣の改善に取り組んだら、血液検査で再度尿酸値をチェックします。

過去に痛風発作を起こしたことのある方は、尿酸値が7mg/dlを超えた段階で内服薬を開始しましょう。
 痛風発作の経験が無い方は、持病(高血圧、糖尿病、腎障害、狭心症・心筋梗塞など)があれば、8mg/dlで内服を開始しましょう。
 発作の経験も持病もない方は、もう少し食事療法などで粘れますが、さすがに9mg/dlを超えたら内服を開始すべきだと思われます。

 

 

貧血

貧血の診断は「ヘモグロビン濃度が基準値よりも下回っている場合」に「貧血」と判断されて「要精密検査」や「要治療」の指示が出されます。
 この基準値は検査機関や病院によって微妙に異なりますが、おおよそ男性で14g以下、女性で12g以下、男女差がなくなる高齢者では11g以下が貧血と診断されます。

ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を持っています。そのため不足すると全身臓器が酸素不足となり、動悸や息切れ、ふらつきやめまいな体調不良の原因となります。また高齢者では、貧血により狭心症などの症状がより顕著となり、胸の痛みが出やすくなったり、心機能の低下により心不全の悪化をきたす恐れもあります。

 

貧血の原因としては一般的にもっともよく言われるのが鉄分の不足による「鉄欠乏性貧血」です。
 これはその名のとおり、鉄分の不足が原因で生じる貧血ですが、必ずしも食事から摂取する鉄分が少ないからだけではありません。

若い女性の場合はダイエットなどの偏食による鉄分の摂取不足が原因となることもありますが、多くは過多月経による出血(出血=ヘモグロビンとして鉄が失われていきます)が原因となります。時には子宮筋腫などの疾患がからんでいることもあり、鉄分の補充だけではなく、婦人科による検査や治療が必要になることもあります。

中高年以降の男女では胃や十二指腸、大腸など消化管の潰瘍・炎症・癌などによる出血を考える必要もあります。そのため便の検査をして潜血(肉眼では見分けられないごくわずかの出血)の有無を確認します。潜血が陽性ならば胃カメラや大腸カメラによる精査も必要になります。

上記のほかにも貧血の原因としては、ビタミンB12や葉酸の摂取不足や吸収障害によって生じる「巨赤芽球性貧血」、腎不全により腎臓から産生される赤血球産生ホルモンが低下する「腎性貧血」、また赤血球を正常に作れなくなる「再生不良性貧血」や、赤血球が壊されていく「溶血性貧血」などがあります。

 

来院後は問診や採血、便潜血の検査を行い、必要に応じて消化器内科、婦人科、血液内科への紹介を行うことになります。

 

 

単純な鉄不足が原因の貧血の場合は鉄剤の内服を行い貧血の治療に当たります。貯蔵鉄(鉄の貯金の様なもの)が回復するまでは内服継続を行いますが、これには数か月を要することが多いです。

さて、実際に鉄剤を内服し始めると往々にして生じる悩みが、胃部不快感です。
「薬を飲むとひどい吐き気がする」と言う方が非常にたくさんみえます。
これらの症状は、鉄剤を内服する際に消化管の粘膜が刺激を受けることによって生じます。この程度は体質に大きく左右されるため、まったく症状の出ない方もいれば、たった1錠でも耐えられないという方まで様々です。


 そういう吐き気のひどい方でも、鉄分を補給しない訳にはいかないですから、いろいろと試行錯誤を繰り返しながら、その人に合った飲み方を模索することになります。
 飲むタイミングを変えるというのも一つの方法です。「寝る前に飲む」「食事と一緒に飲む」など、また「回数を増やして一回の量を減らす」というのもありです。薬の種類も錠剤・カプセル・シロップといろいろありますから、剤形を変えてみるのも一つです。
 いくつも試しているうちに自分に合った方法が見つかる可能性がありますから、根気よく何度も相談しながら一番いい方法を探して頂きたいと思います。

 

 

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